・ハローワークの存在意義というのは、日本国憲法に定める勤労の義務や権利(具体的に全国一律)の平等という要請を具体化したものである。そのため、ハローワークは会社法人や個人事業主等から求人を申し込まれ、提出を受けると、その仕事が法律に違反する内容やハローワークの求人票の書式に沿っていないという特別な事情が無い限り、受理しなければならないのである。そのため、法人事業所などの社会保険強制適用事業所が健康保険や厚生年金保険に加入していないという違法状態にある事業所であり、その求人の条件(時間等)が社会保険に加入する事が求められているのに加入していない場合でも、受理をして、求人票左中央の加入保険の欄の『健康』『厚生』の文字のところに二重線『=』をひいて公開しなければならないという矛盾も抱えている。又、今後、厚生年金保険加入が義務づけられている事業所が厚生年金保険に加入していない場合、社会保険事務所と協力してその事業所の求人の公開を取り消すという方法も採られる。補足として、雇用(失業)保険はハローワークの管轄であるため、雇用保険未加入の事業所が求人をハローワークで出す場合、一つの求人につき一回目は受理はするが、2,3ヵ月後の求人の更新は雇用保険未加入の場合、更新出来ない。
・求人者に対するサービスとして、求人者が必要とする職業能力を持った人材を、求職者に対するサービスとして、求職者が持っている職業能力を活かしうる事業所への就職を斡旋する事が理想とされる(こういった理念を「適格紹介」、又は、単に「マッチング」と言う)。採用選考に対しては求人者には「採用の自由」が存在し、求職者には「職業選択の自由」が存在する。このような理念から、ハローワークとしては応募の機会を設定すれば足り、仮に、自己にとって「適格でない」求人に応募しようとする場合であっても、通常、職業紹介自体を拒否される事はない。国が行う職業紹介としての理念ゆえか、単にハローワーク職員の怠惰に帰するところかは不明であるが、先述の「適格紹介」や「マッチング」機能は低いものとされる。
・ちなみに、民間企業が行う職業紹介は、(求職者の希望に叶うところであるかどうかはさておき)求人企業にとって「適格」と判断される人材しか斡旋しないのが通例である。
・ハローワークでは雇用保険事務も取り扱っている。雇用保険の受給を行うにあたっては雇用保険法の規定によりハローワークへの求職申し込みが義務付けられ、受給中の期間においてはハローワークが行うところの職業指導を受けるものとされる。
・「職業指導」と言っても、特定の求人への応募を強制されたり、ハローワークが行う職業セミナーに出席する事を義務づけれれる事はないが、自己の希望する労働条件を申告する事が求められ、職業相談を受ける事を勧奨されたり職業セミナーの案内文書が郵送される事がある。
・雇用保険は、労働能力を有する者に対して行われる給付である。労働能力を有するものが、積極的に職業に就こうとする事なくだらだらと雇用保険金を受給し続ける事は社会的に好ましい姿とは言えない。そのような意味から、積極的に雇用保険金(基本手当)を受けてもらうという意味での「受給者サービス向上」が取り沙汰される事はない。むしろ、「雇用保険金(基本手当)を受けさせる事なく雇用保険受給者の早期再就職をいかに図るか」がハローワークに課された行政目標とされている。ただ、現実問題として、退職すれば無条件に雇用保険金がもらえると誤解している来所者が少なからず存在する。
・ハローワークでは職業訓練の斡旋も行っている(「公共職業訓練」と言う)。ハローワークが専門学校、都道府県立の職業訓練校、障害者職業能力開発センター(地域によって名称は異なる)などに職業訓練の実施を委託し、先述の訓練施設において一定の職業能力を身につけてもらった上で就職を促進しようとするものである。受講料は無料(国が負担)、ただし、教科書代などの実費は受講生が負担すべきものとされる。雇用保険受給中の者(離職時において65歳以上の者や、「特例」受給資格者を除く)がハローワークの「受講指示」を受けて職業訓練を受講する場合、受給日数の延長や交通費(通所手当)、日当(受講手当)の支給がなされる。職業訓練の期間は、職種などによって異なるが、数日から最高2年である。職業訓練は、あくまで職業に就くための訓練であるがゆえ、重度の障害などの理由により、おおよそいかなる職業にも就き得ない者に対しては職業訓練の受講斡旋はなされない。したがって、職業訓練を受けるための要件として、「介助者の手を借りることなく身の回りのことを行うことができ、かつ、自力通学が可能な者。」という要件をクリアしている事が必要である。(障害者訓練についてこういった事がしばしば問題となる)。
・ハローワークでは、いわゆる「社会的弱者」を雇用した事業主などに対して助成金の支給事務も行っている。助成金の種類については、「(身体、知的などの)障害者」、「母子家庭の母」を雇用した事業主などに対するものが存在する。
・ハローワークは、民間職業紹介事業所の許認可、監督を行う官庁でもある(かつては派遣業も対象であったが、偽装請負の問題をはじめとした弊害が顕在化してきたこともあり、所管機関である労働局本体が取り扱うようになった)
・職安は国の機関ゆえ、職安で働いている職員は国家公務員である。いわゆる「常勤職員」は、「国家公務員U種、V種試験」合格者の中から採用され、官職としては全員「厚生労働事務官」である。先述の「常勤職員」に加えて、非常勤職員たる「職業相談員」が相当数窓口業務に従事している。雇用保険事務を取り扱わない「パートバンク」などでは、所長以外は全員「職業相談員」という所も存在する。
・ハローワークの開庁時間は、原則8時30分から17時15分まで、土曜、日曜、祝日、年末年始は業務を行っていないが、人口20万人以上の都市に立地するハローワークは平日8時30分から19時まで、土曜日は8時30分から17時まで業務を行っている(ただし、パートバンクなどの施設を除く)。ただし、平日17時15分以降の時間帯や土曜日は職業紹介事務のみの取り扱いであり、雇用保険事務の取り扱いは行っていないので注意を要する。
・職業紹介・相談業務については、自己の住所(居住地)を管轄するハローワークでなくとも利用する事が可能である。
ただし、雇用保険業務、求人申込み、職業訓練の斡旋、各種助成金については、若干の例外を除き自己の住所(居住地)を管轄するハローワークで申請する必要がある。
・1999年に男女雇用機会均等法が完全施行された時から、新たな問題も浮上してきた。不況のため何か仕事をしなければと、男性向きの求人に女性が応募する事や女性向きの求人に男性が応募する事も珍しくなくなったが、2005年現在、まだあまり受け入れられていない(依然として男子は営業か技術、女子はごくわずかな事務や販売、介護や看護、サービスに限定される場合が多い。)。なお、神社の巫女の求人や、女性刑務官(女性受刑者の身体検査の場合がある)の求人など、宗旨などの伝統的要請や、性に関わる社会通念上の要請から特別な場合において、求人を申し込んだ安定所の承認つきで『男女雇用機会均等法適用除外求人』という片方の性だけ応募する事が出来る求人もある(この場合、求人票の備考欄に『均等法適用除外』の印をつける事を要する。)。適用除外の印無き求人は、一律例外無く、男性も女性も応募出来る事になっているのだが、中には、ハローワークから応募のコンタクトが電話等で取れた時点で、明らかに違法であるのに事業所が応募を断るという事も珍しくない。又、2004年には高年齢者雇用安定法が施行されている。